思想と哲学の違い

 「思想」と「哲学」はよく同じ文脈で使われているように見える。2つとも「考え」のお硬い言回し。


この2つの違いは「思想」は既に出来上がった固定的な(傾向のある)考え方で、「哲学」はその思想に辿り着くための試行錯誤の改造の過程を指す(傾向がある)と思っている。


「哲学する」「哲学をする」という哲学の動詞の使い方は見ることがあるけど、「思想する」は見たことがない。やっぱり「思想」は「考え」で、哲学は「考えること」という意味合いになる。ここから哲学の方がアクティブなイメージがある。


でも哲学も「考えること」だけでなく「考えた結果」そのものを指すこともよくある。人生哲学とか経営哲学とかいう言い方をする。これらは人がこれまでの人生、または経営の中で辿り着いた考え方、または行動原理を指す。上の考えからするとこの場合は「哲学」よりも「思想」の方が意味からすれば適切ということになるけど、「人生思想」という言い方は聞いたことがない。


思想も哲学もただ「考える」「考え」でなく「深く考える」「深い考え」の意味を含んでいる。熟考でもいい。なぜ深く考えるのかというと、今までの考えでは通用しない場面に遭遇したから。それを変えなくていけないと感じたから。そして今度同じような場面に遭遇しても大丈夫なようにするため。これまでの考えで特に問題は起きなかったら人は深く考えない。


この新しく考えだしたときに分岐点がある。何か終局的または至高の考え方があると思ってそれを目指して今考えているか、それともそんなものはないと思うかだ。「思想」は体系的でまとまった結論的な考えのイメージで、「哲学」はそこに至るまでの過程を含めたものというイメージがある。「思想」は終わりを目指して考えるけど、「哲学」は生きている限り考え続けることで、言い換えれば生きることそのものになる。


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