教育上読書はよいけど漫画はどうなのか

 読書という行動は大人の趣味としても教育上の子供の活動としても、ほぼ無条件で良いものとされている。ビジネス本でも教養のための読書はたいていは含まれているし、教育本でも子育てにおいて読書好きにすることは必須の項目となっている。


教育においてなぜ読書が良いのかというと、まずは読書によって知識の幅が広がりそれが体験へと繋がり、さらに次の知識欲へとなるという「読書と体験の連動」効果。

読書→体験→読書→ …という流れだ。

そして本を読めば語彙力が上がり、国語をはじめ他の教科の学力向上に繋がるという狭い意味での効果もある。


読書も幼児期や小学校低学年くらいまでは絵本が中心になるだろう。絵本の読み聞かせも子育ての定番活動になっている。ここで問題になってくるのは漫画は良いのかどうなのかということだ。


私も子供の頃から漫画を多く読んできた。藤子不二雄から始まってドラゴンボールを中心としたジャンプ系漫画が子供の頃の思い出だ。息子も時を越えて藤子・F・不二雄の漫画を読んでいる。単純に面白いから読んでいる。読んでいる本人は教育的効果なんてどうでもいい。でも少しそこから離れて考えてみたい。


まず漫画と絵本の違いはというと、漫画はページ内が枠線でコマ割りしてページ内に絵による情報量が多く、キャラのセリフのふきだしで誰が発しているのかわかりやすい。絵本は基本的に全て一連の文章のみで状況説明を行う。だが、絵本でも部分的に漫画風にコマ割りされていたり、ふきだしがあるものも多いのでその境界は曖昧だ。


教育上の読書の目的の一つが語彙力や国語力の向上だとして、そのために絵本がよいのなら、漫画の方も問題ないと思う。だけど、もう一つの目的の「読書と体験の連動」でいうと違いがある。漫画を一冊読み終わると、それがきっかけにどんな次の行動に繋がるかというと次の漫画一冊という可能性が高いだろう。もちろん漫画でも例外があって漫画以外の行動に現れるものもある。現に息子も漫画の絵を描いたり漫画内のロボットの工作をしたりもしている。


絵本は物語の内容(フィクション)も多いが、それ以外のノンフィクションの内容、すなわち社会、生活、文化を教えるものもある。ノンフィクションの影響は、次の行動が次の読書へ向かうだけでなく自分も試してみよう、行ってみようなど読書以外の行動に向かう可能性が物語より高い。そこが物語とノンフィクションの大きな違いだと思う。同時にこのことが絵本と漫画との違いでもある。もちろん学習まんがなど例外もあるが。この分類の仕方だと小説も物語系なので体験が小説の中で閉じていきやすく漫画と同じ括りになる。


まとめると、文章に触れて国語力の向上という目的なら漫画でもある程度は果たすことができるはず。でも読書の目的は読書以外の行動の幅を拡げるということもあるので、フィクションだけでなくノンフィクションの本も読んでいったほうがいい。漫画は物語中心でノンフィクションは少ない。